3.自民党反対討論
3.自民党反対討論
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議案第111号令和7年度港区一般会計補正予算(第5号)について反対の立場から討論いたします。
今回の補正予算中、(仮称)分庁舎賃借費232,190,640円及び債務負担行為(令和8〜12年度:1,160,953,200円)の前提とされているのは、「将来に向けた持続可能な区役所への改革」でありますが、これは各支所から大量の人員を本庁舎へ引き上げ、民間の新築ビル賃借に向こう5年間の総額として25億円以上の区民の税金を投入するものであります。
区役所のあらゆる業務に影響を及ぶすものであり、各常任委員会において専門的な審議が必要な案件であるにもかかわらず、DX推進・行財政対策等特別委員会に簡単な骨子の説明がされただけで、今定例会に補正予算案が上程されました。我が会派は、他の重要議案との分割を求めましたが、これは拒否されました。
我が会派が提出した抗議文でも指摘したとおり、この改革案について区民の意見を一切聴取していないこと、委員会の場でも担当課長から虚偽の答弁があったことは極めて遺憾であります。
区民に最も身近な支所に変更が生じる以上、区民に意見を聞かなかったことは重大な瑕疵であり、これについては大澤副区長も認めております。
こうした状況から、我が会派は補正予算の当該部分の撤回を求めましたが、区長からは完全なゼロ回答でありました。
回答の中では、今回の改革の区民アンケートをMINATOビジョンの区民アンケートの際に取ったと後付けされたわけですが、その区民アンケートでは9割弱の方々が満足していると回答しています。その区民アンケートを取り上げるのであるならば、満足度の高い総合支所制度を継続するためにどうしたら良いかを議論すべきであるのにも関わらず、このような議論をしないことは区民軽視の極みであり、看過出来る話ではありません。
これまでの総務常任委員会でも厳しいやり取りをさせて頂きましたが、DX推進・行財政改革等特別委員会においての報告のみで区民に浸透している総合支所制度を大幅に縮小することは到底受け入れられる話ではありません。
何故にそんな拙速に補正予算案に計上し定期借家契約を結ぼうとするのか理解出来ない。将来に向けた持続可能な区役所改革として、総合支所の人数を半減させることで区民サービスの低下は起こさせないとする具体的手段や方法についても何も示せておりません。
確たる論拠もなく区民サービスを低下させないと言われてもとても信ずることは出来ません。
専門性の蓄積や窓口対応の平準化を理由に挙げているが、支所の人間を本庁に戻すことでこれらの課題が解決するのでしょうか。
何故に毎年多くの職員が退職するのでしょうか。新卒者の退職も多いと聞きます。若者の公務員離れなのか、民間からの引き抜きが強いのか。それとも役所内に燻る何かがあるのか。その原因をしっかりと調べ、検証しているのでしょうか。この原因が解明されずにただ本庁に人員を戻すことで解決に至るのでしょうか。
元々の原因を除去せずに進めても、退職する人数は減らずにこれからも増えていくことでしょう。更に支所の人員を減らすことによる仕事量の増加や、苦情による退職者も増えることは避けては通れないと考えます。
この他にも
・特定の民間新築ビルを借りる以外の選択肢の検討が不十分なこと
・5年後の組織状況が不透明であること
・中央集権が時代に逆行すること
・職員アンケートの結果のみをもって進めていること
・本庁の防災拠点の要であるまちづくり支援部が民間ビルへ移動すること、総合支所の防災拠点の要となるまちづくり課が本庁へ引き上げることなど、災害時の影響が全く論じられていないこと
この他にも、分析が不足している点が数多く存在しております。
区民不在のまま、異動を余儀なくされる職員への影響も大きく、全職員への説明・議論が不足し、議会での審議も不十分な結果、区民・区職員・議会の間に分断を生んでいるのであります。
以上のことから、議案第111号港区一般会計補正予算(第5号)については、我が自民党としては断腸の思いで反対をさせて頂きます。
なお、本件議案には、当該事業以外の区民生活にとって重要な項目が含まれており、所管の総務常任委員会において議論が尽くされております。つきましては、区長においては本定例会閉会後、可及的速やかに臨時会を招集し、臨時会での議決後に、速やかに予算執行されることを強く望みます。
何卒皆様のご賛同を賜りますようお願いいたします。
最後に職員の皆さんにお伝えをしたいことがあります。我々自民党議員団はこれまでも、そしてこれからも港区の職員の皆さんを応援しております。バブル崩壊後、空き地や駐車場だらけになった港区で、人口減、それに伴う税収減の中で、様々な施策が見直され、区の諸先輩方を含む職員の皆さんが歯を食いしばり取り組んできたことにより現在の港区があります。特に2020年、世界的パンデミックであったコロナ禍において、全庁を上げて職員の皆さんが保健所機能を守り、我々区民のことを守って下さったことは、感謝であり、敬意であり、我々区民にとって誇りであります。
11月20日の議会運営委員会で本議案について意見を申し上げてから、我々、自民党議員団への応援と励ましのメッセージを多くの職員の皆さんからいただいており、この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。
これからの人口減少の時代に、職員数の減少は避けて通れる話ではありません。その時代にあった、口先だけでない、小手先だけでない、本来の真の改革を職員の皆さんが進めていかれることを我々自民党議員団は応援をさせて頂きます。このことが区民の皆さんに喜んで頂き、区民の誰もが誇りに思う輝ける港区に繋がることと確信しております。以上で終わります。